皆様、こんにちは。
宮城県の西山です。


これはいい出来だぞ!間違いなく釣れるやつだ!

そのミノーを目にしたのは数年前の事だったと思います。
私に宮城でのサクラマス釣りを教えてくれた、あの方の工房で見せてくれた試作ミノー。

メダカが泳いでいるスイムテスト用の長い水槽で、キラキラしながら熱く語っていたのを思い出します。


水流を適度に受ける事で操作しやすく、かつ違和感のない絶妙な引き抵抗。

これにバルサの立ち上がりの良さも加わり、限定されたシチュエーションのみで効果を発揮するのではなく、いろいろな場所で使いやすくなっている、というミノーでした。

私としては、基本泳げば何でも釣れる時は釣れると考えていたのですが(笑)自身もミノーを作るようになって、こういうシチュエーションの時はこう攻めたい、というのが出てきて…
作り手の想いが少しだけわかるようになってきていたころの話です。


それから数年後、いつものように石巻に行けば工房に立ち寄り、雑談したりしておりました。

そんな矢先…
突然の訃報。

当時は私自身もいろいろな事があり、悔しいやら申し訳ないやらで…釣りをしてもモヤモヤが消えない日々を過ごしていたと思います。


そんな中、信頼している方からそのミノーを託され、大切な思い出として持っていたのが今回釣れたミノーなのです。

現場にも持っては行くのですが、とても安易に使う事は出来ないので、いつもお守り代わりにケースに入れていました。


サクラマス釣りは、魚からのコンタクトがそうそうある釣りではないので、何が有効かなんて考えてもなかなか答えは出ません。

私がわかっているのは、ヤマメが海に旅立って、川へ帰ってきた、くらいでしょうか。

多少なりともヤマメの性格が残っているかな程度です。

今日始めた方が一日に数本釣ったり、何十年もやっておられる方が一本も釣れなかった、なんていう話もよく聞きます。

そんなターゲットですから、確たるものもなく、ヤマメの経験を頼りに今まで楽しんできたのが私自身のサクラマス釣りなのです。


そんな中でも、大河川の中層を引きたい時や、中小規模の河川の底を攻めたい、という時によく使うミッドディープというカテゴリのミノー。

必然的に出番も多い番手ですが、インジェクションとバルサの違いでも魚は反応する事は経験上わかってはいました。

ミッドディープのバルサだから釣れる、という訳ではないのですが、いかんせん高価なものばかり。

ましてや思い出のミノー、普通は使おうと思わないのに、場所の状況もある程度わかっていたので…試しに投げてみたんです。


そして結果は2投目。
1投目より少し深く入り、流れの一番強く抵抗が掛かった辺りでヒット。

結構デカイ!!

でも今回は!バラしてもいい、兎に角ラインブレイクだけはしたくない!!…と思いながら、ストラクチャーに突っ込まれないよう、わちゃわちゃしているうちに魚が寄ってきてくれて…

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ランディングした瞬間ミノーは役目を終えたの如く魚の唇から外れました。


フックは伸ばされてかけていたので、ロッドがギリギリまで助けてくれた事、また運がよかった事が重なり、いいサイズの鱒を仕留める事ができました。

早朝からやっていて、何も起こらなく、今日はもう無いかなと思っていたのに、日が昇って暑くなってからの出来事。
時間を確認すると8:30分でした。


バルサだから釣れた、
結果的にはそうだと思います。

私が持っているインジェクションミノー群と比べるとキビキビ泳ぎます。
確かに、どんな流れでもしっくり通せるなと思えるミノーでした。

今日はそれが当たりだった、という結果な訳です。

わかってはいます。
わかってはいるんです。

わかってはいるけど…
それだけじゃない、と思えて仕方ないんです。

ですよね、巨匠。

あなたが残してくれたミノーは、私の記憶にしっかり残りました。
ありがとうございます!!

でも、もう飾っておきますね。
だって、持って行ったら絶対に使っちゃいますから。
使ったら…無くす自信ありますから(笑)

もし、今後このミノーが再び使われる時は、私ではなく、サクラマス釣りが大好きで、こんな話を理解してくれる人に託した後からになると思います。

それまでは、眺めてニヤニヤさせてくださいね!

皆様も良き釣りが出来ますように…






リール:シマノ c3000hg
ルアー:オライノ疾風プロトタイプ90MD(仮称)
ライン:pe1.0 リーダー16ポンド fgノットにて接続
ドラグ初期設定:0.8kg